【RSウイルス感染症】10週間ぶりに患者報告数が減少するも、まだ油断はできない状況 引き続き警戒を

RSウイルス感染症の患者報告数の推移 RSウイルス感染症の患者報告数の推移
 国立感染症研究所によると、全国約3,000カ所の小児科医療機関から報告された、2021年第29週(7/19〜7/25)のRSウイルス感染症の患者数(速報値)は14,664人です。第19週以降、10週連続で増加していましたが、前週から約4,000人減少しました。

 一見、減少したようにみえますが、第29週には、オリンピック開催に伴う祝日が続き、休診していた医療機関があることから、必ずしも感染者数が減少しているとは言いきれません。実際、乳児を預かる施設では、RSウイルス感染症のクラスターが発生したとの報告もあります。統計上では減少したようにみえますが、過去最大規模の患者報告数であり、まだまだ油断はできない状況です。

 今年は季節外れの流行が続いていますが、例年であれば、8月頃から徐々に患者数が増加し始めます。引き続き患者発生動向には注意が必要です。

RSウイルスに感染すると

 RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。通常は感染してから2〜8日、典型的には4〜6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻汁などの症状が数日続きます。多くは軽症で済みますが、重くなる場合には、その後咳がひどくなる、喘鳴が出る(ヒューヒュー、ゼーゼーなどと音がする)、呼吸困難になるなどの症状が現れ、場合によっては、細気管支炎、肺炎へと悪化していきます。低出生体重児や、心臓や肺に基礎疾患があったり、神経や筋肉の疾患があったり、免疫不全が存在する場合には重症化のリスクは高まります。

特に注意すべきは乳児期のお子さん

 乳期、特に乳児期早期(生後数週間〜数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。そのため、乳児期早期のお子さんがいらっしゃる場合には、感染を避けるための注意が必要です。特に、生後1か月未満のお子さんがRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死に繋がる無呼吸発作を起こすことがあります。

感染を防ぐためには

 感染経路は飛沫感染と接触感染で、発症の中心は0歳児と1歳児です。0歳児と1歳児に日常的に接する人は、RSウイルス感染症の流行時期はもちろんのこと、流行時期でなくても、咳などの呼吸器症状がある場合は飛沫感染対策としてマスクを着用することが大切です。

 接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒しましょう。また、流水・石鹸による手洗いか又はアルコール製剤による手指衛生を徹底し、タオルの共用も避けましょう。

流行期間中の外出や行事は慎重に

 RSウイルス感染症は年齢を問わず、何度も感染と発病を繰り返します。再感染以降では風邪に似た症状や気管支炎症状のみである場合が多いため、RSウイルス感染症であるとは気付かれない年長児や成人も存在しています。

 乳幼児への感染を防ぐため、咳などの呼吸器症状がある年長児や成人は、可能な限り0歳児と1歳児との接触を避けてください。もちろん、子ども同士があつまる場所なども避けることが望ましいです。これから、お盆休みを迎え、移動や人が集まる機会が増える方も多いと思いますが、流行期間中の外出や行事は慎重に検討しましょう。

速やかにかかりつけ医へ行く症状

 この病気は、感染してから悪化するまでのスピードが早いです。また、生後1か月未満でも感染する可能性があり、無呼吸の原因になることがあります。ただの風邪だと思わずに、お子さんに、いつもと違う様子がみられたら、迷わず、かかりつけ医の受診をお願いします。

・息がゼイゼイと呼吸が苦しそうになる
・咳で何回も夜中に起きる
・熱が下がっても症状が改善されない
・咳込んで嘔吐してしまう

 ※悪化するときには、発熱はあまり関係ありません

感染症予防接種ナビでは、みなさまからの感染症経験談を募集しています。

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
引用:厚生労働省「RSウイルス感染症Q&A」
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