【感染症ニュース】風しん・先天性風しん症候群 国立感染症研究所「風疹急増に関する緊急情報:2019年10月30日現在」全文

国立感染症研究所 感染症疫学センター 風疹急増に関する緊急情報 <br />2019年10月30日現在(掲載日:2019年11月6日) 国立感染症研究所 感染症疫学センター 風疹急増に関する緊急情報
2019年10月30日現在(掲載日:2019年11月6日)
 国立感染症研究所 感染症疫学センターは、2019年11月6日「風疹急増に関する緊急情報:2019年10月30日現在」を公開しました。その全文を掲載します。

 風疹流行に関する緊急情報:2019年10月30日現在
 国立感染症研究所感染症疫学センター

2019年第43週の風疹報告数

 2019年第43週(10月21日〜10月27日)に7人が風疹と診断され報告された。遅れ報告も含めると、第1〜43週の風疹累積患者報告数は2,245人となり、第42週の2,238人から7人増加した(図1、2-1、2-2)。なお、第43週に診断されていても、2019年10月31日以降に遅れて届出のあった報告は含まれないため、直近の報告数の解釈には注意が必要である。

先天性風疹症候群の報告数

 2008年の全数届出開始以降の風疹ならびに先天性風疹症候群の報告数を示す(図3)。2014年の報告以降、先天性風疹症候群の報告はなかったが(http://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-top/700-idsc/5072-rubella-crs-20141008.html)、2019年第4週・第17週・第24週に各1人、合計3人が報告された(報告都道府県:埼玉県、東京都、大阪府、推定感染地域:埼玉県、東京都、大阪府、性別:男3人、母親のワクチン接種歴:有り(回数1回、接種年不明、種類不明)1人、不明2人、母親の妊娠中の風疹罹患歴:不明2人、無し1人)。

2013年以降の風疹報告数

 2013年(14,344人)の流行以降、2014年319人、2015年163人、2016年126人、2017年91人と減少傾向であったが(図2-1,2-2,3)、2018年は2,946人が報告され、2019年は第43週時点で2,245人が報告された(図1,2-2,2-2,3)。

地域別報告数

 地域別には東京都(840人:第42週から3人増加)、神奈川県(286人:第42週から増加なし)、千葉県(195人:第37週から増加なし)、埼玉県(195人:第42週から1人増加)、大阪府(126人:第35週から増加なし)からの報告が100人以上と多い(図4、7)。第43週は上記都府県以外に、群馬県から複数(2人)報告された(図5)。人口100万人あたりの患者報告数は全国で17.7人であり、東京都が62.2人で最も多く、次いで島根県43.2人、佐賀県38.4人、千葉県31.3人、神奈川県31.3人、埼玉県26.9人、福井県19.1人、福岡県16.7人が続いた(図6)。関東地方からの報告数が1,555人(69%)で最も多いが、近畿地方から245人(11%)、九州地方から167人(7%)、中部地方から118人(5%)、中国・四国地方から94人(4%)、北海道・東北地方から66人(3%)が報告された。報告がないのは青森県、高知県の2県である(図4,7)。

症状(重複あり)

 多い順に発疹2,214人(99%)、発熱1,992人(89%)、リンパ節腫脹1,301人(58%)、結膜充血1,045人(47%)、咳555人(25%)、関節痛・関節炎535人(24%)、鼻汁487人(22%)、血小板減少性紫斑病7人(0.3%)、脳炎1人(0.04%)であった。その他として、咽頭痛40人、頭痛39人、倦怠感24人、下痢・水様便・軟便10人、硬口蓋/口蓋粘膜の点状出血8人、血小板減少6人、白血球減少3人、肝炎・肝機能障害3人、髄膜炎1人、肺炎1人等が報告された。発熱、発疹、リンパ節腫脹の3主徴すべてがそろって報告されたのは1,160人(52%)であった。

検査診断の方法(重複あり)

 ウイルス分離25人(1%)、1Eが4人、2Bが2人であった。PCR法によるウイルス遺伝子の検出1,303人(58%)、この内590人については遺伝子型が検査されており、1Eが524人、2Bが35人であった。血清IgM抗体の検出は1,183人(53%)で、この内、ウイルス遺伝子と血清IgM抗体の両方が検出された者は406人(34%)であった。ペア血清による風疹抗体陽転または有意上昇は54人(2%)であった。また、麻疹(臨床診断例)として保健所に受理された後、地方衛生研究所でのPCR検査で、麻疹ウイルス陰性・風疹ウイルス陽性となり、風疹(検査診断例)に届出が変更になった症例もあった。

推定感染源

 推定感染源は、2,245人中、特に記載がなかった者が1,616人(72%)と最も多く、不明・不詳・情報なしと記載された者が201人(9%)であった。また、何らかの記載があった男性329人の内、職場/会社の同僚/上司・職場/会社で流行・仕事等、「職場」と記載があった者が192人で最多で、この内33人は、職場内で流行あるいは複数名の発症が記載されていた。次に家族35人(父8人、兄弟7人、妻5人、姉妹4人、母3人、子3人等)、友人・知人26人であった。何らかの記載があった女性99人の内、家族(夫14人、子12人、兄弟6人、姉妹5人、父4人、母3人等)と記載があった者が51人で最多で、次に職場/会社の同僚/上司・職場/会社で流行等、「職場」と記載があった者が29人で、この内5人は、職場内で流行あるいは複数名の発症が記載されていた。友人・知人は9人であった。何らかの記載があった小児37人では、家族(父8人、兄6人、母5人、姉妹3人等)が23人と最も多く、次に学校が3人、友人・知人8人で、職場が2人であった。

職業

 2018年1月から届出票に追加された職業記載欄では、会社員と記載されていた人が824人(37%)と最も多いが、配慮が必要な職種として医療関係者が33人(看護師10人、医療事務5人、薬局勤務4人、医師3人、作業療法士2人、看護助手2人、歯科医師1人、薬剤師1人、歯科助手1人、歯科医院勤務1人、検査技師1人、医療従事者2人)、保育士が12人、教職員が16人、警察官・警察署員が10人、消防士・消防署員が7人、自衛官・自衛隊員が7人報告された。

年齢・性別

 報告患者の95%(2,124人)が成人で、男性が女性の3.7倍多い(男性1,765人、女性480人)(図8,9,10)。男性患者の年齢中央値は40歳(0〜76歳)で、特に30〜40代の男性に多く(男性全体の60%)(図8)、女性患者の年齢中央値は30歳(0〜76歳)で、特に妊娠出産年齢である20〜30代に多い(女性全体の65%)(図9)。

予防接種歴

 予防接種歴は、なし(474人:21%)あるいは不明(1,557人:69%)が90%を占める(図8,9)。また、接種歴有り(214人:10%)と報告された者のうち、接種年月日、ロット番号ともに報告されたのは35人、接種年月日のみが報告されたのは38人、接種年月のみが報告されたのは1人、接種年のみが報告されたのは3人であった。接種年月日・ロット番号ともに不明が137人であった。

推定感染地域

 推定感染地域は国内が1,742人(78%)と最も多く、国内・国外不明450人(20%)、国外42人(2%)、国内または国外11人(0.5%)で、国外での感染は少ない(図11)。

第5期定期接種

 風疹第5期定期接種対象の昭和37(1962)年4月2日〜昭和54(1979)年4月1日生まれの男性(図12)は、積極的に風疹抗体検査を受け、検査結果に応じて予防接種を受けることが勧奨されている。

 対象者に対しては、市町村からクーポン券が送付されるが、まず1年目(2019年度)は、昭和47(1972)年4月2日〜昭和54(1979)年4月1日生まれの男性にクーポン券が送付される。厚生労働省の発表(2019年10月29日)によると、2019年度にクーポン券を発送予定の約646万人のうち、4〜8月にクーポン券を使って抗体検査を受けた人が729,533人(クーポン券発送予定者の約11.3%)、4〜8月にクーポン券を使って予防接種を受けた人は140,597人であった。各都道府県別のクーポン券使用者数を下記に示す(図13,図14)。なお、クーポン券が未送付であっても、市町村に希望すれば、クーポン券を発行し抗体検査を受検できる。風疹抗体検査・風疹第5期定期接種受託医療機関については厚生労働省のホームページ(「風しんの追加的対策について」)を参照のこと。風疹はワクチンで予防可能な感染症である。

<※本文に添付の図は、出典先のpdfをご覧ください>
▼出典 国立感染症研究所 感染症疫学センター 「風疹急増に関する緊急情報:2019年10月30日現在」2019年11月6日掲載
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